Mitt rum, Bergman och jag 部屋とバリマンと私

ストックホルム大学シネマ・スタディーズ修士課程に留学中の筆者がベルイマンを中心に色々綴ることを目指していたブログです。全然更新できなかったので、一旦終了してもっと自分が続けやすいブログをリニューアルオープン予定です。

瑞日ダブル・インターン体験談③ 東京国立近代美術館フィルムセンター

さて、前回の更新で書いたベルイマン・センターでのインターンを終えた私は、映画に誘発されたツーリズム(film-induced tourism)の視点から長い長いエッセイを仕上げて、6月半ば、無事にストックホルム大マスター・プログラムでの一年目を終えました。

1週間ほどちょっとのんびり過ごした後、今度は東京に飛んで、国立近代美術館フィルムセンターで夏休みの1ヶ月半の集中インターンシップに参加しました。

ストックホルム大の方で、フィルム・アーカイヴについてのコースを受講しており、スウェーデン映画協会のアーカイヴの事情の方がよくわかる、というような変な状態でフィルムセンターに辿り着いたのですが、とても貴重な体験をさせていただけました。

多分年度替りくらいにフィルムセンターのHPに感想文が載ると思うので、更新されたらここにリンクを貼りたいと思います。

私は日本の学士課程できちんと映画を勉強したこともなく、マスターに進んでから付け焼き刃のような状態なので、研究員の方々の該博な知識を目の当たりし、勉強不足を実感しつつも、とても良い刺激を受けながらの1ヶ月半でした。

アーカイヴという場所に身を置くことで感じたのは、今まで強く意識したことのなかった、映画=フィルムの物質性と、それと不可分の技術者のみなさんの存在。

デジタル化の進む中で、モノとしてのフィルムを扱う仕事に長年従事されていた方々の技術は、まさに職人技。身近にお話を聞いて、継承しなければいけない技術だということを強く実感しました。それと同時に、アーカイヴのポスターのコレクションを見せていただいたり、古い映画雑誌を閲覧したり蔵書の整理をしたりという日々の業務の中で、映画というメディアの歴史性をひしひしと感じました。

実は私は昔美術史を勉強していたのですが、改めて自分は古いものが好きなんだなぁということを思い出しもしました。

フィルム検査に同行させていただいたり、35mmの試写に同席させていただいたり、初めての経験の中で、フィルムというモノの美しさと、あのセルロイドのペラペラに世界を写し取りたいと思った先人たちの想いをしみじみ感じました。

クリスチャン・メッツの映画についての言葉を思い出して、映像への憧憬というか、切望というか、そんなものについて思いを馳せたりもして。アントニオーニの『欲望』のラストシーンに感じるような、茫洋たる現実とフィルムというモノに焼き付けられた現実の像とのあわいとか、捉えられないものを捉えようとする欲望とか、うまく言えないけれど、映画=フィルムの根源的な意味について改めて考えたりもしました。

私はこういう映画の存在論的な議論がすごく苦手で、抵抗感があったのですが、実際にモノとしてのフィルムの存在を強く感じる場所にいると、見方が変わるものですね。

また、ありがたかったのは、私のバックグラウンドを考慮して、スウェーデン映画に関連した業務を色々体験させていただけたこと。

本当にインターンの特権というべきですが、データベースや蔵書の閲覧を通じて、どういうスウェーデン映画が日本に来ていたのか、大まかながらも知ることができたのです。

今、論文を書きつつ、マスター論文についての勉強も同時進行的に進めているのですが、このインターンシップで得た知識が、目下、今後の私の研究の方向性に大きく影響を与えようとしています。

ちなみに、フィルムセンターにいる間、ベルイマンとの嬉しい偶然の出会いがいくつもあって、何か運命的なものを感じました・笑。例えば、相模原分館のフィルム貯蔵庫で偶然入った部屋に『道化師の夜』が保管されていたりとか。

インターン中から後に書いていた論文の資料収集の面でも大きな収穫があって、ありがたい限りでした。映像学会に先月提出し、今採否を待っているところなのですが、図書館司書さんにはるばるスウェーデンから電話してご協力いただいたり、もう、すみません。。。ありがとうございました。。。

6月から8月にかけて、久々に東京に長く滞在して、遊ぶところはしっかり遊び、充実した夏休みでした。いや〜、はや2ヶ月前なのですね。この貴重な経験を大事にして、しっかり自分の学術研究を進めていって、将来的に日本におけるスウェーデン映画史の知識の蓄積を増やすような貢献ができるよう、これからの9ヶ月を頑張りたいと思います。

色々バタバタしている日々なので、決意を新たにするためにも、さらっと振り返ってみました。