Tystnaden

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10/18は、グループプレゼンテーションが終わったご褒美(?)に、Kulturhuset(文化会館)内の映画館(Klarabion)に『沈黙(Tystnaden)』を観に行きました。

 

これはSvenska Filminstitutによる、"Film som förändrade Sverige"(スウェーデンを変えた映画)と銘打った4回連続上映企画で、今回が2回目です。

 

上映の前にトークセッションがあり、今回のゲストは作家でジャーナリストのMaria Svelandさん*1と、日本でももうすぐ公開される"En man som heter Ove"(「幸せなひとりぼっち」という邦題に決まったようです)でグルドバッゲの助演女優賞にノミネートされた、イラン出身のバハー・パール(Bahar Pars)さん。*2

 

映画あるいはベルイマン自身に対して、Mariaさんはどちらかというと否定的、Baharさんは肯定的な視点でそれぞれの印象を語っていました。

 

 

映画の主人公女性2人のキャラクター、女優の演技とも絶賛するBaharさんに、「確かに当時こういう女性2人を主人公にしたのはラディカルだけど、どっちもニューロティックなだけじゃない?そんなにリアルかな」と批判的なコメントを返すMariaさんに、「いやいや、全然ニューロティックじゃないでしょ!すごく自然でリアルだよ!!」とBaharさん。丁々発止のトークセッションでとても楽しめました。

 

個人的に面白かったのは、自分が芝居をするときも子供と共演するのが苦手と言っていたBaharさん(Oveのときも嫌だったらしい)が、映画の中の少年(ヨーハン)と母親(アンナ)の肉体的に少し親密過ぎる関係について、「この映画の中であれだけは嫌。それ以外は完璧だけど、あの子どもはなんて言うかkletig(べとついてる)でダメだわ」と拒絶感を示していたところ。

私は、本作ではヨーハン少年の母親への思慕の描き方(特に伯母に当たるエステルに人形劇を見せて涙を流すシーンは秀逸なのですが…)が好きな部分の一つなので、人の感じ方はそれぞれだということを改めて実感しました。

 

映画についてはここで解説するまでもない代表作なので、ノーコメント。

 

この上映企画、1回目の"Pensionat Paradiset"はThor Modéenファン(?)が団体さんでお越しだったようで満員だったのですが、今回は空席が目立ちました。また、司会者の「前回の上映に来られた方は?」という質問に手を挙げたのが、私ともう一人だったのも、客層の違いを明瞭に示していたと思います。しかし、要はこれが現在のスウェーデンにおけるベルイマンの意味合いを反映しているとも思えます。

 

その少ない観客の中に、フォール島のベルイマンウィークでのボランティア仲間がいたのはびっくり…いや、オタク同士当然というべき?(笑) 嬉しい再会でした。

 

あと2回残っている本企画、来月はJan Troellの"Sagolandet"です。

 

*1:デビュー作”Bitterfittan”はかなりフェミニズム色の強い作品で議論を呼んだようですが、他国で翻訳版が出版されたり、国内で舞台化されたりしているそうです。ラジオやテレビで手掛けた番組が高い評価を受け、2010年にはRoks pris för Årets kvinnogärningを受賞。作家またジャーナリストとして、性・階級・セクシュアリティをテーマとして執筆活動を続けています。

*2:10歳のとき、イランから難民としてスウェーデンに渡った彼女がキャリアを振り返っているインタビューはこちら。もともと舞台の方で実績のある人でOveで一般の人にも知られる顔になったということのよう。最近はDramatenでも活躍中で、来年1月Figaros bröllopに出演するようです