Ingmar Bergman:A Critical Biography

前の投稿から、えらく時間が経ってしまいました。

スウェーデンに行くまでに、持っているベルイマン関係の本を既読・未読のもの含めて読み直そうと意気込んでいる今日この頃です。読み終わったものからこちらで紹介していきたいと思います。

今日紹介するのは、初回にふさわしくベルイマンのキャリアを概観できるIngmar Bergman:A Critical Biographyです。リンク先のものは1992年の再版なので、私が持っているのとは表紙も(恐らく内容も)少し異なっているかとは思いますが…。

私が持っているのは多分初版の1982年版。↓のような表紙です。

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著者Peter Cowieは英国の高名な映画学者で、Swedish Cinema from Ingeborg Holm to Fanny and Alexanderという、コンパクトですが充実した内容のスウェーデン映画概史も著しています。

 

簡単に経歴をまとめておきます↓

Peter Cowieは1960年にケンブリッジ大学で映画に関する執筆活動を開始し、ベルイマン、オーソン・ウェルズ、コッポラらの伝記を含め、20冊以上の著作がある。1963年にはInternational Film Guideを立ち上げ、40年にわたり編集を務めた。(Faber and Faberのサイトより)

タッシェン社より2008年に出版されたThe Ingmar Bergman Archivesの寄稿編集者であり、...1989年にはスウェーデン国王カール・グスタフより 、スウェーデン文化への貢献を評し、Royal Order of the Polar Starを叙勲されている。(European Shooting Starのサイトより)

ベルイマンの膨大なキャリアを概観するのは至難の業ですが、本書は演劇と映画双方の活動を時系列で絡めながら簡単にふりかえるとともに、各作品の内容紹介と短めの分析も含んでおり、読みやすいのに情報量が豊富。とりあえず一通りベルイマンのことを知りたいという読者の要求に十二分に応えてくれます。

日本では三木宮彦氏の『ベルイマンを読む』が最も詳細なレファレンス・ガイドですが、こちらは伝記的な部分と各映画作品の紹介・演劇分野での活動の概略がそれぞれ分割されているので、データベースとしては本書よりは分かりやすい反面、ベルイマンの多岐にわたる活動(&私生活)の相互の関係が分かりにくい短所はあるかと思います。

 

ベルイマン本人や周りの人間の言葉も随所に挿入され、読み物としても楽しめます。初版は1982年なので『ファニーとアレクサンデル』までしか網羅していないところが残念ですが、彼の長い創作活動を流れに沿って多方面から知ることができる、よくまとまった一冊です。